
異常妊娠
異常妊娠と診断されると、早期に治療が必要な場合があります。
放置しておくと、母体やお腹の赤ちゃんへ重大な影響を及ぼすことがあるので、早期発見が大切になります。
妊娠検査薬が陽性になると、ほぼ100%妊娠していることを示しているので、早めに産婦人科を受診して正常妊娠の確定診断を受けるようにしましょう。
代表的な異常妊娠
ここでは、妊娠初期だけでなく中期~後期にかけての異常妊娠まで広範囲に紹介します。日産婦誌63巻11号を参考にしました。
■代表的な異常妊娠
・異所性妊娠(子宮外妊娠)
・流産
・切迫早産,早産
・多胎妊娠
・胎児発育不全
・妊娠高血圧症候群
・常位胎盤早期はく離
・前置胎盤
このような疾患、症候群が異常妊娠と診断されます。
この次は、異常妊娠の診断と治療について詳しく紹介します。
異常妊娠の診断と治療
1.異所性妊娠(子宮外妊娠)
異所性妊娠とは、子宮以外で妊娠することです。妊娠検査薬が陽性でも正常な妊娠かどうかは分かりません。
①妊娠 5 週後半*に子宮内に胎囊(GS)を認めない.
②経腟超音波断層法にて:
子宮内腔以外に胎嚢様構造物を認める.
ダグラス窩にエコーフリースペースを認める.
③出血性ショック症状(低血圧,頻脈,意識障害など)を認める.
④急性腹症を呈する.
⑤流産手術の検体内に絨毛組織を認めない.
このうな診断で子宮外妊娠の可能性が高くなります。
妊娠5週後半で
①血中 hCG>2,000IUL
②基礎体温(BBT)にて高温相が3週間半持続
③市販の診断薬を含め妊娠反応陽性(妊娠4週程度)から1週間半経過
このちょうな所見があると、異所性妊娠が疑われます。
●異所性妊娠の治療
妊娠している部位によって、卵管妊娠、間質部妊娠、頚管妊娠などがあります。
治療は原則として手術適応となりますが、メトトレキサート療法、待機療法が選択される場合もあります。
2.流産
流産とは、お腹の赤ちゃんの活動が停止して妊娠を継続できない状態になることです。
●流産の治療
原則として、子宮内容除去術を施行しますが、完全流産の場合は経過観察となることがあります。
3.切迫早産,早産
切迫早産とは、早産の一歩手前の状態のことです。・規則的な子宮収縮に子宮口開大(あるいは子宮頸管長短縮)を伴うものが切迫早産と診断されます。
●切迫早産の治療
切迫早産の治療の治療として
①子宮収縮抑制剤
②抗菌剤
③母体ステロイド投与
などがあります。
4.多胎妊娠
多胎妊娠とは、双子以上の妊娠のことです。通常の妊娠よりリスクが高くなるため、出産まで厳重に管理されることになります。
双胎間輸血症候群(TTTS:twin-twin transfusion syndrome)がリスク因子となります。
5.胎児発育不全
お腹の赤ちゃんの推定体重が明らかに小さい場合を胎児発育不全(fetal growth restriction:FGR)と呼びます。
このように異常妊娠といっても様々な種類があります。最近ではエコー検査など医療の進歩によって早期に発見できるようになっています。
放置するとママと赤ちゃんに重大な影響を及ぼすこともあるので、妊娠検査薬が陽性になったら、すぐに病院を受診して診断を受けるようにしてくださいね。
この他にも、妊娠初期は先天性異常のリスクに注意することが大切ですよ。
妊娠初期は、先天性異常のリスクに注意!
妊娠初期のママに知ってほしいことがあります。
それは、妊娠初期に大事な栄養素である葉酸が不足してしまうと、「無脳症」や「二分脊椎」など先天性異常のリスクが高くなるという事実です。
このことは、世界的な疫学的調査で判明したことで、日本でも、2002年より厚生労働省が妊娠初期の女性に対して葉酸を積極的に摂取するように通知を出しています。
葉酸は、日頃の食事でも摂取できますが・・・
葉酸は、母子手帳に記載されるぐらい重要な栄養素です。
葉酸は絶対に必要な栄養素なので、不足しないように注意してください。
詳しくは、下記ページで説明しています。読んでみてください。
赤ちゃんとママの明るい将来のためにも、今すぐ葉酸を摂取するようにしてくださいね。
葉酸サプリの選び方については、失敗しない!葉酸サプリの選び方で解説しています。こちらも併せて読んでみてみてください。
葉酸は、母子手帳に記載されるぐらい重要な栄養素です。
妊娠検査薬が陽性なら妊娠
妊娠検査薬の精度は非常に高く、陽性になれば妊娠している可能性が非常に高くなります。ただし、以下のような場合には検査結果が陽性になることがあります。
・ 妊娠している場合
・ 分娩後・流産後・人工妊娠中絶後の場合
・ hCG産生腫瘍の場合
・ 胞状奇胎等の異常妊娠の場合
・ 不妊治療の薬物療法時(特にhCG製剤投与時)
・ 内分泌障害の場合
・ 閉経期の場合
・ 尿が過度に濃縮されること等により尿中LH濃度が高くなった場合等
このような場合には、妊娠していなくても陽性反応が出ることがあるので注意しましょう。
この他、妊娠初期(12週未満)の出血については初期妊娠症状で詳しく紹介しています。
妊娠では妊娠から出産までの疑問や対処法をたくさん紹介しています。読んでみてください。