
不育症の症状
不育症の症状とは、2回以上の流産を繰り返す反復流産、または3回以上流産を繰り返す習慣流産のときに不育症となります。2回以上繰り返す場合は、妊娠を継続できない何らかのリスク因子が存在すると考えられます。
2回以上流産を繰り返す場合は、産婦人科の主治医に相談してみましょう。もし、治療方針に納得できなかったら他の不育症外来がある病院を受診することもセカンドピニオンとなります。
不育症になる確率
厚生労働省研究班(代表 富山大学 大学院医学薬学研究部 産科婦人科学 教授 齋藤 滋先生)が、愛知県内で健康診断を受けた一般女性(35~70歳)503人に調査を行っています。
妊娠経験のある458人中、流産した経験がある人は190人(41%)いました。2回以上流産し不育症とみられるのは28人(6%)、3回以上の習慣流産も7人(2%)いました。
妊娠経験がある人458人中190人が流産の経験があると答えています。全体の41%の人が流産を経験していることになります。
この中で、2回以上流産を経験して不育症と思われる人は28人で全体の約6%です。確率的には16人に1人の割合で不育症の人がいることが分かっています。
3回以上流産を繰り返す習慣流産も7人、約2%の割合でいます。
参考:不育症研究について/不育症研究-不育症治療に関する再評価と新たなる治療法の開発に関する研究-
この研究には、富山大、名古屋市大、慶應大、東京慈恵医科大、日本医科大、神戸大、成育医療センター、岡山大、大阪大、東大、川崎医科大、日大、弘前大、保健医療科学院、九州大、山形大、大阪府立母子保健センター、杉ウイメンズクリニック、新潟大が参加していて信頼性の高いデータとなっています。
妊娠経験がある人の約4割が流産を経験していること驚かせられますが、不育症の人も以外多いのが印象的です。
この次は、不育症でも妊娠や出産はできる?の疑問を解説します。まだまだ続きます。
不育症でも妊娠や出産はできる?
不育症と診断されても、妊娠や出産はできるの?と疑問に思う人もいると思います。
不育症の人でも、約80%の人が出産できています。不育症の多くは、胎児側の染色体異常が原因で繰り返した偶発的流産と考えられています。
このような方の多くは、妊娠予後が良好なので安心して妊娠できる環境作りが大切になります。
しかし、抗リン脂質抗体症候群、一部のプロテインS欠乏症、プロテインC欠乏症、第XII因子欠乏症などの場合は治療が必要なこともあります。
不育症の原因は?
厚生労働省研究班の調査によると、子宮の形態異常、抗リン脂質抗体症候群、甲状腺異常、プロテインS欠乏症、プロテインC欠乏症、第XII因子欠乏症などがあります。
しかし、不育症全体の65.3%が原因不明となっています。
不育症の65.3%が原因不明となっていますが、妊娠できないことはありません。まずは、不育症外来を受診して原因を調べて治療するようにしましょう。
反復流産とは?
反復流産とは、流産を繰り返すことです。反復流産の割合は妊婦さん全体の約1%で約100人に1人の確立になります。3回以上流産を繰り返すと習慣流産と呼ばれる状態になります。
反復流産の原因は、赤ちゃんの染色体異常が最も多く抗リン脂質抗体、夫婦どちらかの染色体異常と続きます。しかし、これらの原因を除いても全体の6割が原因不明ということになります。
反復流産後の妊娠率ですが、約80%と高い妊娠率になっています。あきらめないことで次の妊娠へつながるので、もう一度不妊外来を受診することをおすすめします。
反復流産の治療法としては、ホルモンによる治療や手術、抗凝固療法などがあります。また着床に障害があるときもあるので、着床不全(着床障害)外来を受診することも選択肢です。詳しくは反復流産とは?で説明しています。
習慣流産とは?
習慣流産とは、連続して3回以上流産を繰り返す状態のことです。流産する確率は約15%と言われ、6人に1人の割合で流産を経験していることになります。妊娠の最大の合併症として認知されています。
流産する確率は年齢と共に上がっていく傾向があり35~39歳で約20%、40~44歳で約40%の人が流産すると言うデータもあります。また不妊症に悩んでいる人も35~39歳で約30%、40~44歳で約64%の人と年齢と関係があります。
習慣流産が起こる原因として抗リン脂質抗体、夫婦どちらかの染色体均衡型転座、子宮の形状異常、胎児染色体数的異常などがあります。このような原因は不育症外来で検査できることが多いです。
習慣流産は、そのほとんどは胎児側にあるため治療法がありません。ですが、全体の約2割程度が母胎側に原因があると言われ上記の原因に合わせた治療が行われています。詳しくは習慣流産とは?でまとめています。
この他、不育症全般については不育症で詳しく紹介しています。読んでみてください。
妊娠では、妊娠したい人や妊娠初期の人に向けた情報がたくさんあります。参考にしてください。