多嚢胞性卵巣症候群(PCOS:たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)の症状と治療

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

多嚢胞性卵巣症候群
(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)
Polycystic ovary syndrome
PCOS または PCO

多嚢胞性卵巣症候群とは、卵巣の中にたくさんの卵胞(卵子を包む膜)があり卵子をうまく排出できない状態のことをいいます。

エコー(超音波検査)で見てみるとブドウの房のようにたくさんの卵胞を見ることができます。(ネックレスサインとも言う)

古くから知られている病気ですが、根本的な治療法は確立されていません。

ですが、そのほとんどが軽症で、医療機関でしっかりとした治療を行えば、排卵が起こったり無月経が改善されたりといい方向へ改善していきます。

治療法としては、妊娠を望む場合と望まない場合で治療法が違ってきます。

多嚢胞性卵巣症候群の症状

多嚢胞性卵巣症候群の症状

POCSの症状として多くあるのが月経不順や無月経です。この症状は、比較的よく見られる症状でPOCSと診断された人のうち99.9%にみられます。

その他の症状として、多毛やにきび、低声音、陰核肥大などの男性化兆候、肥満などがあります。欧米では肥満が多いようですが、日本では全体の14.3%とそれほど多くはありません。

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多嚢胞性卵巣症候群の原因

多嚢胞性卵巣症候群の原因

原因としては、脳にある下垂体の視床下部(脳の真ん中ぐらいにある)から分泌されるGnRHホルモンの増加や糖代謝の異常、副腎の機能異常などが原因と考えられています。

以前は卵巣を手術すると排卵できたり妊娠することが多くなっていたため卵巣自体の病気と考えられていましたが、視床下部や副腎などのホルモンを調整する機能の異常やインスリンの働きがPOCSを引き起こすと考えられています。

また、最近の研究によりPOCSは糖代謝と密接な関係があることも分かってきて糖尿病の治療薬なども投与されるようになっています。

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多嚢胞性卵巣症候群の治療

多嚢胞性卵巣症候群の治療

POCSは、男性ホルモンや糖代謝異常が関係していると考えられていますが、根本的な治療法は現在のところありません。

しかし、糖尿病の内服薬が有効な場合もあります。妊娠を希望するときと妊娠を希望しないときで治療法が変わってきます。

多嚢胞性卵巣症候群は排卵できない状態となることが多いので、妊娠を希望する場合は排卵を促す治療法を行います。

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多嚢胞性卵巣症候群のリスク

POCSの一番のリスクは不妊です。つまり妊娠できない状態になってしまうということです。

また、主な症状として月経不順がありますが、これを放置しておくと子宮体がんのリスクが増大すると言われます。

どちらにしても早めに医療機関を受診して的確な治療を受けることが必要になってきます。

月経不順や不正出血がある人はすぐに医療機関を受診したほうがいいでしょう。

妊娠したいなら、先天性異常のリスクに注意!

妊娠したいなら、先天性異常のリスクに注意!

妊娠を考えているなら、お腹の赤ちゃんの先天性異常のリスクに注意を払うようにしましょう。

妊娠前から妊娠初期にかけて、重要な栄養素の葉酸が不足すると、「無脳症」や「二分脊椎」といった先天性異常のリスクが高くなることが分かっています。

これは、世界的な疫学調査で判明したことで、日本でも2002年より厚生労働省が妊娠前や妊娠初期の女性に葉酸を積極的に摂取するように勧告を出しています。

葉酸は、日頃の食事でも摂取できますが、妊娠前の女性に必要な量に足りていないのが現状です。

葉酸は、絶対必要な栄養素なので、不足しないように注意しましょう。

詳しくは、下記ページで解説していますので読んでみてください。

妊娠前・初期に絶対必要な葉酸
妊娠前、妊娠初期に絶対必要な葉酸

多嚢胞性卵巣症候群の診断基準

POCSの診断基準は、欧米で用いられていたものが採用されていましたが、項目を満たさない症例が増えてきて、日本女性向けの基準が必要となりました。

そこで1993年に設定され1)月経異常,2)LH 値の異常高値かつFSH 値正常値(3)卵巣の多囊胞性変化を項目として運用されています。

しかし、1)血中LH 値測定の問題点、2)アンドロゲンの測定、3)卵巣所見の曖昧さなどがあり、2007年に新しい診断基準へと移行しています。

多嚢胞性卵巣症候群と漢方

POCSと診断され治療を受けている人に漢方薬が処方されることがあります。

西洋医学と東洋医学の良いところを合わせて治療に用いているようです。不妊治療でも漢方と併用している人も多くいます。

漢方では淤血(おけつ)と痰湿(たんしつ)と言う考え方があり、血流の滞り(ドロドロ血)や水分の巡りの悪さ(むくみなど)を改善することによって治療すると言うものです。

POCSに漢方を用いることで月経不順が改善して基礎体温も二相に別れたと言う報告もあります。

漢方薬は温胆湯、爽月宝、桂枝茯苓丸、海馬補腎丸、参茸補血丸などが使われることが多いようです。

人それぞれ症状が違うので担当医や漢方専門の薬剤師に相談してから使ってください。

多嚢胞性卵巣症候群とメトフォルミン

POCSと診断される人の中に非インスリン依存性の糖尿病を持っている人がいます。

最新の研究で糖代謝異常も排卵に関わっていることが分かってきてインスリンに注目が集まってきています。

実際に非インスリン依存性の糖尿病を持っている人に糖尿の治療薬であるメトフォルミンを投与することで排卵障害が改善される例が多数報告されています。

体重の減量と共にメトフォルミンを使うことで排卵が促されると考えられています。

しかし糖代謝異常が無い人にメトフォルミンを投与しても改善しないので、しっかりと血液検査をしてから投与されます。

多嚢胞性卵巣症候群とグリスリン

POCSと糖代謝異常は深い関係があってインスリン抵抗性のある人に糖尿病の治療薬であるメトフォルミンが投与されることがあります。

メトフォルミンが投与されることでインスリンの分泌が抑えられ結果的に卵巣などの男性ホルモンが減少して排卵できる状態になります。

このメトフォルミンに変わる成分としてグリセリンが注目されています。

グリセリンはキノコの舞茸から抽出される天然成分で安全性が高く副作用も少ないと言われています。

POCSだけでなく不育症や排卵障害、月経不順の患者さんにも応用できると期待されています。

多嚢胞性卵巣症候群の関連トピックス

多嚢胞性卵巣症候群(POCS)に関する話題を集めてみました。POCSと診断される人は不正出血や不妊を疑って婦人科を受診して分かる例が多いようです。

多嚢胞性卵巣症候群と妊娠

多嚢胞性卵巣症候群は、ホルモンや糖代謝異常などで卵胞が育たず膜が固くなり上手く排卵できない状態のことをいいます。

POCSの人は無月経や月経不順の人が多く出血があっても排卵できていないことが多くあります。

治療法としては妊娠を望む場合と望まない場合で違ってきます。

妊娠を望む場合はクロミフェン・クロミッドなどで排卵を誘発することから始まります。

クロミフェン・クロミッドで排卵が起こらない場合はFSH製剤での排卵誘発、効き過ぎた場合はクロミッドをセキソビットに変更、もしくは中止するなどの措置がとられます。

POCSで排卵を誘発する場合は医師がしっかりと管理を行った上で実施されます。

多嚢胞性卵巣症候群と基礎体温

POCSと基礎体温は非常に大事な関係があります。

基礎体温を3周期ぐらい測り続けることで正常な排卵ができているかなど妊娠に関わる重要な情報を知ることができるためです。

基礎体温を測るには朝起きてすぐに測定するようにしましょう。

体を動かすと体温が上がってしまうので動かす前に測ります。POCSの人は高温期がない一相性の基礎体温表となる人が多いです。

これは排卵ができていないことを示していて超音波検査(経膣エコー)で排卵が確認できない場合には排卵を促す療法が行われます。

多嚢胞性卵巣症候群とピル

POCSで妊娠を希望しない場合に低容量ピル(OC)を使った治療法があります。

POCSの人は高温期がない一相性の基礎体温を示すことが多く、低容量ピルを使うことで擬似的に高温期を作り出し自然に排卵できるように促します。

ピルには、卵巣がんや子宮体がん、卵巣がんを予防する働きもあると言う報告も出ています。

ピルを使った治療法は生理がきてしまうため妊娠には向いていないので妊娠を希望する場合には、排卵を促すクロミフェン・クロミッドなどを使った治療法を行います。

多嚢胞性卵巣症候群を完治

POCSを完治する治療法は、現在のところ確立されていません。

ですが、医療機関で適切な検査を受けて治療を受ければ排卵が起こりやすくなり妊娠する確率も上がります。

クロミッドなどの排卵誘発剤が効くことも多く排卵障害も改善できると報告されています。

クロミッドや注射での排卵も試されますが、副作用に卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や多胎妊娠の可能性があるため、十分に注意しながら投与されます。妊娠を希望しない場合にはホルモン剤を使ったカウフマン療法や低容量ピルを使った人工的に体温の二相を作り出す治療法が行われています。

多嚢胞性卵巣症候群と肥満

POCSの症状として肥満がありますが、日本では肥満の割合は約14.3%とそれほど多くありません。

POCSでの肥満はBMIが25以上の数値がある人のことです。

肥満は妊娠する上で大切な排卵を起こしにくくすることでも知られていて、無月経や無排卵など妊娠を遠ざけてしまう症状を持っていることもあります。

肥満と判定された場合には、食生活などの生活指導や減量指導などが行われます。

またインスリン抵抗性がある人もいて、こちらの症状にはメトフォルミンなどの治療薬が投与されることもあります。メトフォルミン投与で排卵が改善されたケースも多数報告されています。

多嚢胞性卵巣症候群と流産

POCSと診断された人は流産する確率が高いという説がありますが、学術的に証明されたものはなく他の原因に比べても変わりません。

厚生労働省の不育症の研究班Fuiku-labが調査したところ流産する確率の違いは認められませんでした。

POCSと流産の関係を記した文献は非常に少なく信頼度からも厚生労働省の不育症の研究班Fuiku-labのデータが信用度が高いと思います。

同ページでは三回流産しても8割の方が妊娠すると言うデータもあって諦めずに妊娠を目指すことが大切とも記しています。

多嚢胞性卵巣症候群と腹腔鏡手術(ラパロ)

POCSにおいて、排卵を起こさせるために腹腔鏡手術を行うことがあります。

メリットとしては、術後約70%の人に自然排卵が認められることや1年以内に約50%の人が妊娠するなど状況を大きく改善することができます。

ラパロは、主にクロミッドや注射を行っても排卵ができないときに手術をすすめられることが多いようです。

この手術では、卵巣の他にも卵管の状態を確認できるので、癒着などがあればその場で手技を行えることもメリットです。

デメリットとしては、入院が必要なことやインスリン抵抗性を改善しないこと、流産や妊娠合併症を改善しないことがあげられます。

術後の重篤な症例として無排卵となった症例もあります。

多嚢胞性卵巣症候群とクロミフェン

クロミフェンは無排卵や月経不順の人に使われる治療薬でPOCSの人で妊娠を希望するときによく使われる薬です。

脳の視床下部に働きかけてエストロゲンの分泌を促して排卵が起こるように卵巣を刺激します。

通常は、月経開始後一日一錠を5日間服用して様子をみます、薬を飲み終わってから一週間から二週間後に排卵が起こります。

一錠で反応がないときには、二錠に増やします。これでも排卵が起きない場合には三錠に増やすか注射などで排卵を促していきます。

また、シクロフェニル(セキソビット)を服用する場合もあります。

不妊に関係する病気は妊娠しにくい病気で詳しく紹介しています。

妊娠では妊娠から出産までの疑問や対処法をたくさん紹介しています。読んでみてください。

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