
生理不順と早発閉経・早発卵巣不全
生理不順の原因に早発卵巣不全(POF)があります。日本産婦人科学会によると、早発卵巣不全とは一般的に40歳未満で無月経となる疾患のこととされています。
早発卵巣不全は、早発閉経とゴナドトロピン抵抗性卵巣症候群(gonadotropinresistant ovary syndrome;Gn-ROS)と同じような解釈をされています。
日本産科婦人科学会では、早発閉経の定義を43歳未満での閉経としています。
当初は、卵巣が萎縮してしまうので妊娠はできないと考えられてきましたが、希に早発卵巣不全の人でも妊娠できたり、年に数回排卵する人がいることが分かってきました。ですが、一般的に妊娠は困難な病気とされています。
参考:日本産科婦人科学会早発卵巣不全
早発閉経の原因
早発閉経の原因として、早期卵胞喪失・染色体異常・卵胞障害・ガラクトース血症・自己免疫疾患・卵胞刺激の異常などがあります。
早発閉経の人は、リウマチや甲状腺機能低下症など自己免疫疾患を併発していることが多いようです。
●早発閉経の症状
症状として、無排卵や無月経、生理不順などがあります。早期に閉経が来てしまうため、イライラやのぼせ、多汗など更年期のような症状が現れることがあります。
●診断基準
日本産科婦人科学会によると、早期閉経の診断基準として
・40歳未満
・第二度無月経
・ゴナドトロピン高値 血中FSH≧40mIU/mL
・エストロゲン低値 estradiol< 15~30pg/mL
・染色体正常核型 46,XX
以上の5点が診断基準とされています。この条件を満たすもので卵巣生検で卵胞が確認されるか、治療を行うことにより排卵が起こる場合はGn-ROSになるとされています。
早発閉経の治療
早発閉経の治療は、妊娠を希望する場合と妊娠を希望しない場合とで違ってきます。
■妊娠を希望する場合
妊娠を希望する場合の治療法は、主にホルモン療法を行います。ゴナドトロピンを正常化して排卵誘発剤によって排卵を促す治療法です。
●エストロゲン療法
具体的には、プレマリンを1.25mg/日を21日間投与して、その後半10日程度プロゲストン5~10mg/日を併用して投与するものです。そのあと休みを取って3から6周期行い排卵できるか様子を見ます。このあとhMG-hCG療法を行うこともあります。
●Gonadotropin releasing hormone(GnRH)agonist 療法
GnRHアゴニストのスプレキュア900µg/日を4~8週間投与して、卵胞の発育状態を見ながら、次の生理周期にhMG-hCG療法を追加する治療法です。この治療法でも発育しない場合は治療が大変困難になるとされています。
●副腎皮質ステロイド療法
自己免疫疾患であるリウマチなどが関与していると考えられる場合は、プレドニゾロン10~30mg/日を使いながら排卵を試みます。
●卵子提供
現在、日本産科婦人科学会の会告では体外受精・胚移植は婚姻した夫婦間に限定しているため日本で治療を受けることはできません。
■妊娠を希望しない場合
妊娠を希望しない場合は、骨粗しょう症など更年期症状を予防するためエストロゲン・プロゲステロンなどのホルモンを補充する治療法が選択されます。
上記の治療法は一例です。個人の病状や体調に合わせて最適な治療法が選択されることになります。早期閉経は産婦人科の担当医師と十分に話し合って納得した上で治療を受けるようにしましょう。
早発閉経で妊娠?
日本産科婦人科学会では、43歳未満での閉経を早期閉経と定義していますが、早期閉経でも排卵・妊娠に至った例が報告されています。
しかし、実際のところ早発閉経で妊娠するというのは、非常に難しい状態であると考えられています。聖マリアンナ医大生殖医療センターのHPには”早発閉経は、赤ちゃんを授かることは非常に難しいといわれています。”と記載されています。
参考:早発閉経(POI)|聖マリアンナ医科大学病院 生殖医療センター
限りなくゼロには近いのですが、治療することによって妊娠。出産できた例もあります。早発閉経で妊娠するためには、乗り越えるべきハードルはいくつもありますが、諦めずに治療を続けることが大切です。
また、妊娠を希望しないときでも、更年期の症状である骨粗鬆症・心筋梗塞・脳梗塞などを予防するため女性ホルモンを補充する必要があります。少なくとも閉経の平均年齢と言われる50歳ぐらいまでは続ける必要があります。
早期閉経は、早めの産婦人科受診が大切です。生理が3ヶ月以上来ていないときは、無排卵の可能性があるのですぐに病院を受診しましょう。
早期閉経のきかっけとなる生理不順については生理不順で、正常な生理周期については生理周期で詳しく紹介しています。
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